確定申告応用編

平均課税制度について

所得税は累進課税制度(所得が増えるほど税率が上がる制度)を採用しているため、年によって収入に波のあるお職業や、臨時の収入がある場合には、それまでに比べて税負担が急増することがあります。
漫画家や作家の原稿料や印税といった収入は変動所得に該当し、一定の要件を満たしていれば平均課税制度を利用することができます。
平均課税では変動所得の金額を5で割り、その5分の1の金額に対応する税率で計算した金額を5倍して税額を計算することができます。
5分5乗方式といって、累進税率の適用を緩和する目的で採用されています。
通常の税率より低い税率で所得税を計算することができるため、税負担が軽減されることになります。

ところで、同人作家についても平均課税制度を適用することができるのでしょうか?
同人誌の販売による収入が平均課税制度の適用要件にある変動所得となるかどうか、ということになりますが、一般的には同人誌は自費出版であるため印税や原稿料という形の収入ではなく平均課税を適用することはできません。

ただし、漫画家はOKだけど同人作家はダメ、というものではありません。
あくまでその収入の性格によるものなので、同人作家さんでも専ら得意とするテーマの商業誌(アンソロなど)に載せる作品を描いて出版社から印税・原稿料という形で収入を得ていれば、当然平均課税の適用を検討する余地が出てきます。

過年度分の申告への平均課税の適用について

確定申告における特例措置の中には、当初申告の際に申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置があります。
このような特例は、一度確定申告を行った時に適用していなければ、その後に修正申告や更正の請求を行って特例の適用を認めてもらうことはできませんでした。
平均課税もその一つで、最初の申告の時に平均課税を適用して申告していなければ後日平均課税を適用した方が税額が少ないと気付いて申告し直そうとしても認められませんでした。

しかし、平成23年度税制改正の更正の請求範囲の拡大により平均課税については当初申告要件が廃止されました。
これにより、平成23年度以降分については当初の申告で平均課税を選択していなくても更正の請求により平均課税を選択して申告し直すことが可能となりました。